変な人が書く映画鑑賞記録

観た映画の感想を記録するブログです。うっかり2度観る・タイトル忘れ・オチが分からないと安心して観れない。そんな方は是非参考に。

ハイヒールの男

そして“彼”は“女”になったのか? 

 コメディとシリアスが絶妙に入り混じったストーリーだろうな、と思ってDVDレンタルして観てたんですけど、まじめな内容です。ちなみに暴力的なアクション要素(たまに血みどろ)あるので苦手な女性の方は、遠慮したほうがいいかも。

f:id:cindykakuishi:20161117003840p:plain ストーリー

 犯罪組織からも恐れられる脅威の戦闘能力と暴力性、そして完璧な肉体と容姿を兼ね備えた刑事ユン・ジウク。しかしそんな彼にも人に言えない秘密が一つだけあった。それは<女性になりたい>という願望を持っていること。長年そのことで葛藤を続けてきたジウクだったが、ある出来事をきっかけにして遂に、自分の心の声に従う決意をする。だがその時、容赦無い暴力と悪意が、その運命をあざ笑うかのようにジウクの身に迫っていた・・・。

■原題:하이힐  ■上映時間:125分 

■配給会社:クロックワークス ■製作年:2014 

【キャスト】チャ・スンウォン、オ・ジョンセ、イ・ソム、コ・ギョンピョ 【スタッフ】監督:チャン・ジン

(THE KLOCKWORX HPより引用) 

主人公を取り囲む人間には“男の中の男”にしか見えていない

 主人公ジウク演じる俳優チャ・スンウォン氏の男気あふれるヴィジュアルは韓流をよく観る方はよくご存じのはず。そのイメージのままの屈強な刑事役として、冒頭から華やかなアクションシーンから入ります。自分が男なら惚れちゃいます。そう、男が惚れる男!

 しかし、なんと心は“女”というまさかの性同一性障害という複雑な心を抱えた人間だった。それを打ち消そうとしたのか、彼は“男”を極めてみたけど、もう嘘は付けないと思ったのか、性転換手術をすることを決意し、突然警察を退職。

 中盤、敵対者であるホゴン(ヤクザなんでしょうか?)ですら、過去にジウクと部下との戦いを目撃しており、ある目的の為にジウク宅に不法侵入した際には、その最強華麗な戦闘を一人誰もいない部屋で再現している姿は滑稽。敵対者ですらその戦闘能力に惚れてしまっている!どうでもいい話ですが、そのシーンあたりから、その敵対者ホゴ役を演じる俳優オ・ジョンセ氏が、大泉洋氏に見えてくるのは私だけですか?

 少しずつ女性になる準備をしていたジウクは、女性ホルモン注射をしていた。腕に注射跡を見た、彼を慕う後輩は車の中で、見てはいけないものを見てしまった感いっぱいの表情で『先輩、誰にも言いません』の一言。尋常じゃない強さを見れば、後輩はそりゃ薬物だと思いますよね。

“男”が“女”になって生きることとは?

 印象的なシーンとして2つ。1つめは、お兄さんからお姉さんになった先輩の手引きで、ジウクは女性になる準備をしている訳ですが彼女のお店で『お金の無いオカマなんて誰も見向きもしないわよ』といシーン。2つめは、教会という場所が自分達のような人間に似つかわしくないと思うのか、お姉さんちょっと不機嫌になるシーン。

 セリフは少なめのシーンですが、俳優チャ・スンウォン氏の演技力が素晴らしいと思いました。男が女になって生きるということは、いばらの道のはずなんですが、かすかに幸福感を感じているともいえる何とも言えない表情は惹きつけられます。

非情な現実を突きつけられ決意は再び混乱と狂気へ

 退職を知った人々が復讐・暴力団への誘い・自分を慕っていた後輩の殺害・そしてついには、『守ってあげるから』と幼少期に恋をしたが自殺してしまった少年の妹にまで、魔の手が伸びる。その凶行のタイミングは、まさに性転換手術のためアメリカに飛び立とうとしていた寸前。 

 そして“彼”は“女”になったのか?分からない!! 

 個人的にオチがアンニュイな感じで終わってるのが上手くできてると思います。ジウクの中では様々な、“女”に生まれ変わろうとする心理的な段階があったと思うのですが、結果、分かりません。以下、私個人が考える結末。

  1. 守りたいものを守るため“男”を貫く決心をすることになった。
  2. ずっと見守っていた初恋の少年の妹の結婚を見届けて、別の男に妹を任せた時点で“女”になった。
  3. 殺人犯になってしまったので逃亡生活の始まり。“男”か“女”かどころではなくなってしまった。(多分これが一番悲しい)

まだ観てない方へ、伝えたいこと 

こんな一癖あるシリアスが観たい方は必見!てコト。